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​四国流罪者情報地図

「四国流罪者情報地図」は、四国における流刑に焦点を当てたウェブサイトです。このサイトは、卒業研究の研究成果として作成しており、四国における流罪に関して研究をしている方を対象としています。

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​この研究をしようとしたきっかけは、四国という土地が古代より流罪の地であったこと、流罪として流された人々がどこで生活をしていたのかを明らかにしたいと思ったからである。歴史学では流されたという情報が重要視され、流された後のことにはあまり注目されないため、流された後にスポットライトを当てれば面白い研究になるのではないかと思い、この研究を始めた。

​はじめに

​研究の目的

​この研究では様々な文献を調査し、中央から流された人物、四国内から流された人物を特定。データベースを作成し分析できるようにする。また流された人物に関連する史跡を調べ、可能な限り現地に赴き写真を撮影、Googleマップの地図作成機能を活用し地図データとしても機能するようにする。

​これら二つの情報から四国のどの時代に多いのか、どの地域に流されたのかを明らかにし、南海道や旧国府との位置関係に注目して当時の権力関係などを明らかにしていく。

​研究方法

​1.文献などを調査し、四国に流された人物を特定、Excel上でデータベースを作る。
2.フィールドワークをして流された人物に係る史跡を調査。見つけた史跡はGoogleマップの地図作成機能を使い、どこにあるのか、分布がどのようになっているのか分かるようにする。

​古代の刑罰と流刑地の変遷

古代日本の律令の成立は、中国・唐の影響を大きく受けている。その律令の中には刑罰に関する規定も存在する
「天平宝字元年施行の律令(養老律令)の規定では、主刑として「笞」「杖」「徒」「流」「死」の5刑が規定され、それぞれ刑にはいくつかの等級に分かれており、「死」は、「絞」と「斬」の二種類が規定されていた」

*法務省「我が国における死刑の歴史について1律令体制下」https://www.moj.go.jp/content/000096623.pdfより引用

​刑罰の内容
笞罪:木製の笞杖と呼ばれる鞭で臀部を打つ刑罰。(鞭打ち刑)最も軽い罪
杖罪:刑罰の内容は笞罪と同じだが獄に監禁されるところが異なる。2番目に軽い罪
徒罪:労役刑。期間は1~3年とされ、半年を一等として五等の五段階に分けられていた。3番目に重い罪
流罪:罪人を辺境の地に追いやり、二度と元の居住地に戻れないようにする罪。罪の重さに応じて「近流」「中流」「遠流」の三つに分かれている。四番目に重たい罪だが、死刑が衰退すると事実上もっとも重たい罪された
死罪:「絞」と「斬」の二種類が規定されている。死刑後、首を晒し市民へ戒めとすることで犯罪の抑制につなげようとした。最も重い罪だが、仏教の浸透などにより徐々に衰退。
渡邊大門「流罪の日本史」筑摩書房、2017年を参考にしている

流刑地の変化
「神亀元年の式」
     近流ー越前国、安芸国
     中流ー諏訪国、伊予国
     遠流ー伊豆国、安房国、常陸国、佐渡国、隠岐国、土佐国

「延喜式」
     近流-越前国、安芸国等
     中流ー信濃国、伊予国等
     遠流ー伊豆国、安房国、常陸国、佐渡国、隠岐国、土佐国等
国名の後ろに等とついており、一例であることが分かる

「御成敗式目」ー追加法の流罪
     近流ー越前、安芸
     中流ー信濃、伊予
     遠流ー伊豆、安芸、佐渡、隠岐、土佐

渡邊大門「流罪の日本史」筑摩書房、2017年、阿部幸吉「土佐流刑 流され人考」牧歌舎、2007年、虎尾俊哉「延喜式」吉川弘文館、1995年新装版第一刷発行を参考にしている

古代日本の律令に規定された刑罰の内容と流罪に関する整理ができた。次のページから四国各県に流された罪人を確認する。

四国各県の流罪人

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​各県ごとに流罪人をすべて年代順で並べている。
一覧で確認する場合は一番下の年代別一覧へ。
​フィールドワークをして見つけた史跡は各県の中にある史跡へより飛べます

​近代から現代の刑罰の変化

明治期の刑法

明治元年10月30日行政官布
 明治元年の官布では刑事法は新律が公布されるまで幕府の法令とされた
 江戸期と違い火刑は廃止となり磔は君主を殺した大逆に限定されている

新律綱領(明治3年12月20日公布)
​ 主刑として
「笞」「杖」「徒」「流」「死」の5刑。それぞれの刑に等級があり「死」は「絞」と「斬」の二種類が規定。斬首した首を晒す「梟首」を付加することができた。
   「梟首」は明治12年に廃止された(明治12年太政官 布告第1号)。


刑法(明治13年太政官布告第36号),刑法附則(明治14年太政官 布告第67号)
 主刑は死刑,無期徒刑,有期徒刑,無期流刑,有期流刑,重 懲役,軽懲役,重禁獄,軽禁獄,重禁錮,軽禁錮,罰金, 拘留,科料が規定され,死刑は,絞首刑とされた
 この太政官布告から養老律令から規定された5刑が形を変えることになる


1908年(明治41年)に日本最古の刑務所として旧奈良監獄が誕生している
この年の刑法改正から現行刑法の成立と刑務所の整備に伴い、流罪は廃止となる

京都大学歴史研究会『日本流刑史』(http://kurekiken.web.fc2.com/data/2003/030606.html)より引用

現代の刑法
現代日本の刑法は死刑、懲役、禁錮、拘留、罰金、過料の6刑が規定されている

生命刑

 死刑・受刑者の生命を絞首で奪う刑事罰。絞首刑が基本
​  外患誘致罪や内乱罪など国家の安全を脅かすものや殺人や決闘殺人、強盗致死を犯したときに死刑が求刑される。     
  現行の法律では18種類の死刑になる犯罪がある

ベンナビ刑事事件『死刑になる犯罪は18種類|主な罪名と死刑執行までの流れ』(https://keiji-pro.com/columns/181/)を参考。


自由刑

 懲役刑務所の中で刑務作業をさせる
 禁錮 1 ヶ月以上刑務所に収容。刑務作業は課せられない
 拘留 ・1日以上 30 日未満刑務所に収容。刑務作業は誯せられない
令和7年6月1日施行刑法等の一部を改正する法律
刑法第九条 (刑の種類)死刑、拘禁刑、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。
と変わっている
刑法|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045/20250601_504AC0000000067?tab=compare)より引用

財産刑

 罰金・ 1万円以上(上限なし)
 科料 ・1000 円以上 1 万円未満
東中野図書館法律情報局平成24年12月22日発行『刑罰のはなし』(https://library.city.tokyo-nakano.lg.jp/lib/files/higashipath201210.pdf
ベンナビ刑事事件『6つの刑事罰を解説!2025年運用開始の拘禁刑や量刑の決まり方なども確認しよう』(https://keiji-pro.com/columns/570/)を参考

​この研究を通して

 本研究を通して四国に流された人物とそれに係わる史跡をある程度発見することができた。その結果、律令の成立から流罪が始まり、武士や寺や神社などの中央機関とは別の勢力が台頭することで流罪が増加、反乱や戦が増加することで処罰をする中央機関がマヒし、流罪となる人数が減っていく流れが分かった。
また史跡を調査したことで、官道とのつながりも発見ができた。四国に現存している史跡は全体的に南海道や駅の近くにあることが分かった。このことから中央機関が流罪者が流された後も監視していたと考えられる。また高知県に残されている史跡は山の中などのかなり辺境にあるため、逃げにくく影響力が及ばないようにされていたと思われる。
 本研究の課題は、流罪者をすべてまとめるというテーマにしたことで、朝廷などの中央機関が流罪にしたものと、四国諸藩が流罪にしたものを一つにまとめてしまい内容がごちゃごちゃしてしまったこと。香川県と徳島県が顕著であるが現存している史跡が著名な人物の物に偏ってしまっていることだ。
流罪をテーマに研究する上で時代や流された人物の身分、流された地域、研究する人物を絞ることが今後の課題となると考える。
​ 全体を通してごちゃついた内容の研究になってしまったが、教科書に名前が残るような著名な人物以外に数多くの人物が様々な理由で流されていることが分かった。四国以外の遠流の地に流された人物を特定し、本研究と比較することを私の今後の研究課題としたい。

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